うちでは稲の苗を、畑で育てています。
畑苗代(はたなわしろ)と呼ばれています。
多くの方は、田んぼに苗代をつくって水を張った状態で育てますが、畑では基本的には雨水だけが頼りです。
畑苗代は水が少ない状態で育つので、田植えした後に根が張って活着するまでの日数が短いのです。
種籾は温度をかけて少しだけ発芽させます。
事前に平らにならした畑に発芽させた種籾を播いていきます。
振るっておいた土を被せていきます。
表面を平らにならして
乾燥や朝の低温から守るために、ビニールを被せます。
この状態でしばらく置いて、芽が出たころにビニールを外します。
田植えは5月末から6月頭くらいに
私たちのお米は「秋晴れ」という品種です。
これは50年以上前に愛知県の試験場で開発された品種で、コシヒカリと違ってさらっとした食感で、ササニシキに近いものがあります。
玄米を炊くときには内なべ付きの圧力鍋で、浸水しないで炊くと逆にモチモチした食感になります。
白米でも玄米でも冷めても美味しいと評判です。
今では栽培する人はほとんどいないので、うちで種を継いでいます。
昨年のモミから種もみを選別する塩水選という作業を昨日やりました。
種もみの中には実入りが少なく軽いものがありますが、そんな種は発芽しないことが多いので、選別して実入りが良い、重いものだけを種まきします。
用意するものは、塩、ザル、生卵など。
大きな桶に塩水を作りますが、比重が1.13になるようにする必要があります。
生卵を泳がせて、頭が少しでる程度の塩水がだいたい比重1.13なので、その目安になります。
種もみを入れてかき混ぜます。
浮いて来たモミは、軽くて実入りが少ないのでザルですくって捨ててしまいます。
沈んだ種もみはネットに入れて小分けにします。
立ち枯れ病、イモチ病などを防ぐためには、種もみを消毒することが有効です。
普通は農薬で消毒しますが、うちでは60度のお湯に10分間ひたすことによって消毒します。
温湯消毒といいます。
乾燥している種もみを発芽するには、充分に水を吸わせなくてはなりません。
来月なかばのモミまきの日まで、流水にさらして充分に水を吸わせます。
浸種といいます。
毎年春先に塩水選をすると、いよいよ稲作が始まるという気持ちになります。